リニューアル費用は、作り直す範囲と移す情報で決まる

画面を新しくするだけに見えても、実際には今あるページを調べ、残す内容を選び、文章や画像を新しい画面へ移し、古いURLから新しいURLへつなぎ直す作業が加わります。まず、既存ページ、文章・画像、URL、問い合わせフォーム、アクセスを数える設定を残すか決めると、見積もりに必要な作業が見えてきます。

たとえば、数年前に作ったサイトがスマートフォンで読みにくく、サービス内容も一部変わっているとします。会社情報は今も使えますが、サービスの説明は書き直しが必要です。検索から読まれている記事は残したい一方、終了したサービスのページは公開を続けられません。問い合わせフォームも、現在の受付内容に合わせて入力欄を変える必要があります。

この場合、「全部を捨てて新しく作る」と決める前に、残せる情報と作り直す部分を分けます。そこで初めて、部分的な修正で足りるのか、全体を作り直すのかを比べられます。

一部を直すか、サイト全体を作り直すか

困っている場所が限られており、今の更新画面やページ構成を今後も使えるなら、部分改修を検討できます。文章や写真の差し替え、スマートフォン表示の修正、必要なページの追加だけで目的を満たせることもあります。

一方、ページを更新する仕組みが古く、制作した会社にしか触れない、必要な情報がどこにあるか分からない、スマートフォン向けの修正を一部だけ行えない、といった場合は、全面リニューアルを検討します。新しいサービスへ合わせてページ構成そのものを変える場合や、今後は自社でお知らせを更新したい場合も、新しいページの設計や更新方法まで見積もりに含めます。

全面リニューアルを提案されたからといって、すぐに全ページの作り直しを決める必要はありません。制作会社には、今の仕組みを使い続けられない理由と、全面リニューアルで解消する問題を聞きます。「古いから」ではなく、更新できない、必要なページを追加できないなど、現在の仕事に関係する理由が分かれば、費用をかける範囲を選べます。

スマートフォンでは項目ごとに表示します。

比べる内容部分改修全面リニューアル
対象困っているページや機能に限って直すページ構成や更新方法を含めて作り直す
既存ページ触るページと触らないページを分ける残す・書き直す・公開を終えるに分ける
移行作業変更箇所を中心に調べる文章・画像・記事・URL・設定を調べて移す
見積もりで聞くこと今回直した後に残る問題新しく作る仕事と移す仕事の内訳

部分改修案と全面リニューアル案は、いま困っていることを解決する二つの方法として出してもらいます。対象ページと移行作業を分けた見積もりなら、金額差がどの作業から生まれたのかを読めます。全面リニューアルに進む場合は、今あるページの扱いを決めます。

今あるページを「残す・書き直す・公開を終える」に分ける

全面リニューアルでは、今あるページを「そのまま残す」「内容を直して残す」「公開を終える」の三つに分けます。ここでいう「そのまま残す」は、文章をコピーするだけとは限りません。新しいデザインに合わせて見出しや画像の大きさを調整し、リンクが正しく動くかを試す作業があります。

「内容を直して残す」ページでは、変更する範囲を決めます。サービス名だけを変えるのか、対象者や料金、申し込み方法まで書き直すのかで、必要な聞き取りと原稿作成の量が違います。手元の写真を使えるなら画像調整で済みますが、現在の店舗やスタッフ、商品を撮り直すなら撮影の準備と費用が加わります。

「公開を終える」ページは、削除するだけでよいとは限りません。終了したサービスに代わるページがあるなら、古いページを開いた人が新しい案内へ進めるようにします。代わりになる内容がない場合は、無関係なトップページへ一律に送らず、そのページをどう扱うか制作会社と決めます。

サイトのメニューから見えないページも調べます。過去のお知らせ、ブログ記事、PDF、キャンペーン用のページ、画像などが残っていると、トップページから見ただけでは移行量を数えられません。自社で一覧を出せない場合は、制作会社が現状を調べる作業と、その結果を見て移行範囲を決める工程が必要です。

ここを見積もり前に省くと、契約後に「記事は移行対象外だった」「PDFは自社で入れ直す必要があった」と分かることがあります。残すページが決まったら、そのページのURLを変えるかどうかを考えます。

URLを変えるページには、古いページから新しいページへの転送が必要

URLは、ブラウザーの上部に表示されるページごとの住所です。会社案内のURLを変えたとき、古いURLへ来た人を新しい会社案内へ送る設定を「転送」または「リダイレクト」と呼びます。

検索から読まれているページや、ほかのサイトからリンクされているページのURLを変えるなら、古いページと新しいページを一対一で対応させます。すべての古いURLをトップページへ送ると、読み手は探していた情報へ着けません。サイト内のリンク、サイトマップ、各ページが示す正規URLも、新しいURLに合わせて直します。

こうした移行を行っても検索順位が維持される保証はなく、リニューアル後に検索結果が一時的に変動することもあります。だからこそ、URLを変える必要があるページと、今のURLを残せるページを制作前に分けます。

ページの住所をつなげても、問い合わせフォームやアクセスを数える設定は別に動作を確かめる必要があります。画面に見えにくい部分も、移行作業として見積もります。

フォームと計測設定の引き継ぎもリニューアル費用に含まれる

問い合わせフォームでは、入力欄、送信先、送信後の表示、自動返信の内容を、新しいサイトでも使える状態にする必要があります。見た目だけを再現しても、担当者へメールが届かなければ問い合わせを受けられません。公開前に実際に送信し、担当者側の受信まで試す作業を見積もりに含めます。

アクセス数やよく読まれているページを把握している場合は、その計測設定を新しいサイトでも使うか決めます。今の設定を引き継ぐのか、新しい設定へ切り替えるのか、誰が動作を確かめるのかで担当範囲が変わります。

ドメイン、サーバー、サイトの更新画面を別の会社が管理している場合は、ログイン情報を誰が持っているかも早めに調べます。必要な情報へ入れないまま制作を始めると、完成後に公開できない、古いサイトを止められないといった問題につながります。

制作中も今のサイトでお知らせや実績を更新するなら、どの時点の内容まで新しいサイトへ移すかを決めます。最初にデータを移した後も旧サイトへ記事が増えれば、公開直前に差分を移す作業が発生します。更新を止める期間を設けるのか、公開直前に増えた分も制作会社が移すのかで、作業日程と費用が変わります。

新規制作と移行作業を分けた見積書の比べ方

新しく作る仕事には、ページ構成、デザイン、文章作成、写真撮影、スマートフォン表示、更新機能などがあります。移す仕事には、既存ページや画像の移行、古いURLからの転送、フォームと計測設定の引き継ぎ、公開後の動作確認などがあります。

同じページ数でも、文章と写真をすべて新しく用意する場合と、既存の文章・画像・記事・URLを調べて移す場合では作業が違います。ページ数だけで金額を比べると、移行作業が含まれている会社と含まれていない会社を同じ条件で見られません。「データ移行一式」とだけある場合は、対象になるページ、画像、記事、フォーム、URL転送、計測設定を分けて聞きます。

たとえば、一方の見積もりに既存記事の移行、URLの転送、フォームの送受信テストまで含まれ、もう一方は新しい固定ページの制作だけということがあります。合計額だけを見ると後者が安く見えますが、公開までに自社で記事を入れ直すなら、比較条件は同じではありません。金額差を見つけたら、移す作業と公開後の確認がどこまで含まれるかを読みます。

制作会社へ相談するときは、現在のホームページURLを送り、「スマートフォンで料金が読みにくい」「終了したサービスが残っている」「自社でお知らせを更新できない」のように、困っていることを一つ具体的に伝えます。残したいページ、書き直したいページ、公開を終えたいページも、分かる範囲で伝えます。

全部を自社だけで決める必要はありません。検索から読まれているページが分からない、更新画面に入れない、フォームの送信先を把握していない場合は、その状態も伝えます。制作会社が現状調査を行うなら、何をどこまで調べ、その費用が見積もりに含まれるかを聞けます。

リニューアル費用は、見た目を変える料金だけでは決まりません。部分的に直すのか全体を作り直すのかを選び、既存ページ、文章・画像、URL、フォーム、計測設定のうち、何を残し、直し、移すかを決めて初めて、見積もりの範囲がそろいます。この状態なら、「新しく作る仕事」と「移す仕事」が自社に必要かどうかで制作会社の提案を比べられます。

ホームページのリニューアル費用でよくある質問

見積もりを頼む前にすべての移行対象を決めきれなくても、現在分かる範囲と、分からない範囲を分けて伝えられます。

今のホームページと同じURLを使えば、移行費用はかかりませんか?

同じドメインを使っても、ページごとのURL、文章・画像、フォーム、計測設定を新しいサイトへ移す作業は残る場合があります。現在のURL一覧と、新しいサイトで変えるURLを制作会社に示してもらい、転送作業の対象を聞いてください。

現在の制作会社から、どの情報を受け取ればよいですか?

ドメイン、サーバー、更新画面、アクセス解析などの管理先と、手元にあるログイン情報を調べます。受け取れるデータや引き渡し条件は契約と仕組みによって異なるため、新しい制作会社を決める前に現在の契約先へ聞きます。

一般的なリニューアル価格だけで予算を決められますか?

インターネットで見た価格だけでは、既存記事やURLの移行、フォームの作り直し、写真撮影などが含まれるか分かりません。まず部分改修か全面リニューアルかを分け、残すページと移すデータを数えたうえで見積もりを取り、予算の幅を出します。